3-3-2 対内投資の国際税務

日本関連ビジネスにおける国際税務の基本的枠組み

日本における国際税務については2つの側面があります。一つは対外投資、すなわち日系企業の対外投資に関わる国際税務であり、もう一方は外資系企業の対内投資に関わる国際税務になります。

対内投資の国際税務 (外資系企業の対内投資)

日本における企業課税の枠組みにおいては、外資系企業の在日支店を含む外国法人に対しては日本における経済活動にのみ法人税が課されます。日本の税務当局は対日投資の促進、電子商取引市場の育成ならびに日本経済の向上を意図して以下の対内投資の国際税務に関する制度を用意しています。

  1. 投資所得課税: 日本の法人税法は基本的に日本に恒久的施設を持つ外国法人の日本における経済活動に対して課税しています。一方で、 日本に恒久的施設を持たない外国法人も利子配当等、組合契約に基づいて配分を受ける利益、土地等の譲渡対価、人的役務提供の対価ならびに匿名組合契約に基づく利益分配について源泉所得税を払っています。さらに 例外として恒久的施設を持たない外国法人に対しても、資産の運用保有から生じる所得、不動産の譲渡により生じる所得、事業譲渡類似株式あるいは不動産関連法人株式の譲渡により生じる所得、国内において行う業務資産から供与を受ける経済的利益、人的役務の提供事業から生じる所得ならびに不動産等の貸付による所得に対して法人税を課しています。
  2. 投資ファンド税制: 日本の税務当局は日本における外資系ファンドの投資活動に対する法人税制を用意しています。この税制の適用における主要な論点は恒久的施設の存在の有無になります。この論点の解釈はファンドの構造に左右されることになります。さらに、投資元企業の母国との課税条約も課税関係の規定に重要な役割を果たします。
  3. 電子商取引課税: 日本の税務当局は外国法人に対する電子商取引課税制度を整備しつつあります。この税制の適用における主要な論点は恒久的施設の存在の有無ならびに電子商取引が日本の消費税の課税対象になりうるかという問題になります。これらの論点の解釈については未だ議論中です。ちなみにOECD ガイドラインはウエブサイトは恒久的施設ではないが、サーバーは恒久的施設であると定義しています。
  4. 過小資本税制: 過小資本税制においては利付負債・自己資本持分比率、総利付負債・自己資本比率のいずれもが3倍を超える場合に国外支配株主に対する支払利息を損金不算入とするものです。この制度は利息の支払を通じた課税所得の移転を防止する税制です。

これらの対内投資に関わる国際課税制度については、詳細な計算式や適用要件が定められており、一部制度についてはまだ発展途上の状態でもあることから、適用要件の解釈については慎重に吟味する必要があります。これらの国際課税制度の適用については税理士に相談されることをおすすめします。

Updated Nov 20, 2012

公認会計士、税理士  土門 純

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References

Ichiro Sudo, CPA in Japan (2011). CPE Training Text “Basic and Practical International Taxation” : The Japanese Institute of Certified Public Accountant.

 

Guide to Japanese Taxes:Japan Federation of Certified Public Tax Accountants’ Associations