3-3-1 対外投資の国際税務

日本関連ビジネスにおける国際税務の基本的枠組み

日本における国際税務については2つの側面があります。一つは対外投資、すなわち日系企業の対外投資に関わる国際税務であり、もう一方は外資系企業の対内投資に関わる国際税務になります。

対外投資の国際税務 (日系企業の海外投資)

日本における企業課税の枠組みにおいては、外資系企業を含む全ての内国法人の全世界における経済活動に法人税が課されます。海外における経済活動には当該国において法人税等に相当する税が課されることが通常であることからこのままでは企業は日本および海外において同一の所得に対して二重に課税されてしまうことになります。この為日本の税務当局は、課税権の適正な配分、産業の国際立地競争の観点ならびに課税のコンプライアンス強化を意図して以下の4つの国際課税制度を定めています。

  1. 外国子会社配当益金不算入制度: 内国法人は外国子会社から受け取った配当金の95%を益金に算入しないことができます。これは海外においてすでに源泉税が差し引かれているためです。
  2. 外国税額控除 : 内国法人は外国で支払った税金のうち法令で定める部分(控除対象外国法人税)を当期の法人税額のうち国外所得金額部分に相当する金額を限度として控除することを認めています。この制度も国際二重課税の排除を意図しています。
  3. 外国子会社合算税制 : 特定外国子会社等の適用対象金額のうち、発行済株式等の10%以上を保有する内国法人の株式保有割合に対応する部分の金額(課税対象金額)をその内国法人の収益の額とみなして、その特定外国子会社等の事業年度終了の日から2ヶ月を経過する日を含む、その内国法人の各事業年度の所得の金額に合算することとしています。これは軽課税国経由の取引による課税からの避難を防止するための税制です。この税制は経済合理性がある場合における合算課税の適用除外の定めをおいており、a.持株会社でないこと、b.本店所在地に事務所等があること、c. 本店所在地に管理支配があること、d.非関連者との取引が50% 超であること(卸売、銀行、証券ならびに保険会社等に適用)あるいは事業を本店所在地国で行っていること(その他の業種)以上4つの基準すべてを満たした場合に適用除外を認めています。これらの適用除外要件の理解は国際税務戦略の成功にとって非常に重要な要素となります。
  4. 移転価格税制: 国外関連者との取引においては、法人が独立企業間価格以下でで販売を行いまたは高価で仕入れを行った場合には、独立企業間価格で行われたものとみなして課税所得を計算する税制です。この制度は関連者取引価格のコントロールを通じた所得の移転を防止するための税制です。最近では移転価格制度における税務当局の追加課税を避けるため、日本との間に租税条約を締結している国との取引につき税務当局とのいわゆる事前確認制度Advance Pricing Agreement (APA) Program )を利用する法人が増えています。事前確認制度の適用にあたっては制度の利用により発生する費用と効果を慎重に比較考量することが必要です。

これらの対外投資に関わる国際課税制度については、詳細な計算式や適用要件が定められており、適用要件の解釈についても慎重に吟味する必要があります。これらの国際課税制度の適用については税理士に相談されることをおすすめします。

Updated Nov 20, 2012

公認会計士、税理士  土門 純

 

References

Ichiro Sudo, CPA in Japan (2011). CPE Training Text “Basic and Practical International Taxation” : The Japanese Institute of Certified Public Accountant.

 

Guide to Japanese Taxes:Japan Federation of Certified Public Tax Accountants’ Associations